読めば自分を守れる 詐欺師が人を騙すのに悪用する心理学

特集

怪しげな高額塾や情報商材、投資案件に引っかからないよう、共通する行動心理学である「ヴェブレン効果」について説明します。

これらの詐欺的な高額塾や情報商材、投資案件に関わる人々は、しばしば次のような考えにとらわれます。

「怪しいけど、やってみたい気がする」

「この人が言っているなら大丈夫だと思う」

冷静になればわかるようなことですが、なぜ多くの人が騙されて大金をつぎ込んでしまうのでしょうか?

答えは、ヴェブレン効果が作用しているからです。難しそうな言葉ですが、解説を終える頃には理解できると思いますのでご安心ください。

ヴェブレン効果とは

ヴェブレン効果とは、1950年にアメリカの理論経済学者ハーベイ・ライベンシュタインによって定義されました。

簡単な例で説明すると、高級時計や高級バッグを購入する際の心理現象です。

これらの物品の実際の原価は高くないのに、何十倍もの高値で販売されています。それにより、価値が高いと感じる心理現象を指します。

人々は無意識に「高級ブランド=高価=価値のあるもの」と思い込んでいるため、他の物品でも高い価格を見ると同様に「高い=価値がある」と無意識に感じてしまうのです。

ヴェブレン効果の悪用

このヴェブレン効果は、怪しい高額塾、情報商材や投資案件においても実際にどのように利用されているのでしょうか?

実際には、2つのパターンがあります。1つは「純粋に高価な設定」、もう1つは「段階的な価格上昇」です。

まずは順を追って説明しますが、段階的な価格上昇の方がより悪質な方法です。

パターン1

パターン1は最初から純粋に高価な設定です。この場合、次のようなターゲットを持ちます。

・すでに興味を持っている人

・一定の収入が見込まれる人

・逆にお金に困っている人

興味を持っている人には、「高価だが効果がある」と様々なエビデンスを使って説明します。この説明により、本人は「やっぱり間違ってなかった」「こんなチャンスないラッキーだ」「これなら稼げる」と価格に納得し、大金を費やしてしまうでしょう。

一定の収入がある人には、社会情勢や老後の不安を煽り、「もっと稼げる」とアプローチし、大金を出させます。

彼らは収入があるため、「出せるお金はあるし、それだけの価値があるならやってみる」と考えさせるのです。

逆にお金に困っている人には、「今何とか始めれば苦しみから解放される」と人々の苦しみを利用し、一発逆転のチャンスを与えるアプローチをします。この人々は借金をしてでも投資し、お金を出して一発逆転を狙うことになります。

これらの方法は、怪しいポンジスキームやNFT、仮想通貨投資などで使われる手法です。

パターン2

次にパターン2です。パターン2では、警戒心を和らげるために「徐々に価格を上げていく」という手法を用います。

「何十万、何百万もする高額な塾や商品を突然押し付けられたら、自信を持って断れるだろう」と思うかもしれませんが、このパターンではそれを回避するよう工夫されています。

例えば、FX関連のBさんがAさんに自動売買ツールが利用できると言い、FXプラットフォームへ100万円の投資を勧めました。しかし、Aさんは金額が大きすぎると断りました。

そこで、FX関連のBさんは、お試しとして1万円からでも始めることを勧めました。Aさんは「1万円ならいいか」と思い、投資しました。

すると、思いの外自動売買ツールが利益を上げ、実際に利益を出すことができました。

この際、Bさんは「もっと利益が出るから」と言い、100万円の追加投資を勧めてきました。

Aさんは「きっとすごいことだろうね」と考え、100万円を追加投資しました。

実際には、このようなFXプラットフォームはポンジスキームであり、数字は画面上に表示されていても出金はできません。裏ではBさんとその仲間がお金を持って逃げるのが常套手段です。

この一連の例でのトリックは、「少額でAさんを油断させる」という点です。少額でも有益なものを提供されると感じさせ、Aさんは100万円の投資を進められるのです。

こうなると、「ヴェブレン効果」という悪役が登場します。

ヴェブレン効果から自分を守る方法

怪しい高額塾や情報商材、投資案件などの詐欺的な商品や商法には、ウェブレン効果が悪用されることがほとんどです。無料サロン、無料セミナー、無料LINE@、無料トレードツールなどがその例です。

もしヴェブレン効果を使われそうになった場合、どうすれば良いでしょうか?

それは時間をおいて冷静に価値を見極めることです。

自分の目標、能力、財力を考慮し、本当に必要なのかどうか冷静に判断する必要があります。何とかして時間を置いてみてください。

逆に、ウェブレン効果を悪用する詐欺師たちは、あなたに考えるスキを与えたくありません。時間を置かせると、詐欺の疑念が湧いてしまうからです。

価値のある商品やサービスは、「賞味期限」がないはずです。

本当に価値のあるものは、焦らす必要がなく自然に需要があるはずです。

最後に

今回はヴェブレン効果の悪用とその対策について紹介しました。

詐欺師たちは一時的な心理学「ウェブレン効果」を利用して、相手を後悔させてもいいからお金をだまし取る手法を使います。しかし、本当に稼げる方法や投資はあなたを焦らせる必要はありません。努力すれば結果は出るし、人は変わることもできます。詐欺に注意して、真摯な取り組みで成果を上げることを応援します。

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